退職代行サービスを使って辞めることを検討している人のなかには、「有給消化はできるのか」と疑問に思っている人もいるようです。
本記事では、退職代行を使った有給消化の流れや注意点について徹底解説していきます。


退職代行で有給消化はできる!
退職代行サービスを利用する際、「有給休暇が使えなくなるのでは」と不安に感じる人も多いでしょう。しかし、退職代行を使っても有給休暇は問題なく消化できます。
有給休暇は労働者に保障された権利です。退職が成立する前であれば、退職代行で辞める場合も取得できるので、安心して申請しましょう。
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ただし、会社によっては感情的になったり、独自ルールを持ち出して有給取得を拒もうとするケースもあるため、弁護士や労働組合などの適切に「交渉」できる退職代行サービスを選ぶことが重要です。
ここでは、退職代行で有給消化する際の以下のポイントについて解説していきます。
退職代行でも有給休暇は労働者の法的権利
有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利です。
労働基準法第39条では、6ヶ月以上継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、雇用形態に関係なく有給休暇を付与することが義務付けられています(年間有給付与日数は以下表を参照)。
継続勤務年数 | 有給付与日数/年間 |
---|---|
6カ月 | 10日 |
1年6カ月 | 11日 |
2年6カ月 | 12日 |
3年6カ月 | 14日 |
4年6カ月 | 16日 |
5年6カ月 | 18日 |
6年6カ月 | 20日 |
参照:e-GOV 法令検索「労働基準法第39条」
つまり、自身が直接退職を伝えようと、退職代行サービスを通じて伝えようと、法的には違いがありません。有給休暇を取得する権利は変わらず存在します。
また、退職申し出により退職日が決まると、それ以降に有給休暇を取得させることはできないため、退職時の有給取得を拒否、もしくは時季変更権を行使することは実質できないといえるでしょう。
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一部のブラック企業では、「有給休暇は許可制」や「頑張った人だけが使える」といった独自ルールを押し付ける場合があります。
しかし、こうした社内ルールは法律上認められておらず、有給休暇は労働者の当然の権利であり、会社の方針に左右されるものではありません。
たとえブラック企業であっても、退職代行サービスを利用すれば、有給取得の意思も代わりに伝えてもらえるため、精神的負担を感じずに有給を消化が可能になります。


退職代行経由で有給消化することで実質的な即日退職が可能
退職代行を利用して有給休暇の取得手続きを同時に行えば、実質的に「即日退職」することも可能になります。
例えば、正社員の場合は「法律上(民法第627条)申し出から2週間で退職を成立させることができる」ため、この2週間の間の出勤日にたいして有給休暇を充てることで、1日も出社せずに退職することができます(以下図表を参照)。


※有給休暇が残っていない期間中については、欠勤扱いとして処理
参照:退職戦略室「最短で退職するには?法定の2週間前ルールや就業規則より早く辞める方法も解説!」
特に、職場でのハラスメントや過度な引き止めに悩まされている人にとっては、退職代行で有給消化して辞める方法は精神的な負担を大きく軽減してくれるでしょう。
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退職代行サービスを利用すれば、有給取得の意思も代わりに伝えてもらえるため、これまで有給を消化できずに我慢してきた方こそ、最後はしっかり有給休暇を使い切れるように退職日を設定しましょう。


有給休暇取得の「交渉」は一部の退職代行しかできない
退職代行に依頼して有休消化して辞めたい場合、すべての退職代行が有給取得に関する「交渉」までできるわけではない点に注意が必要です。
退職代行業者には、「弁護士」「労働組合」「民間の事業者」の3種類があり、それぞれ対応可能範囲が以下表のように異なります。
退職代行の種類 | 有給消化の「意思伝達」 | 有給消化に関する「交渉」 |
---|---|---|
弁護士 | 対応可能 | 対応可能 |
労働組合 | 対応可能 | 対応可能 |
民間 | 対応可能 | 交渉不可 |
これは弁護士法において、弁護士資格を持たない者が法律事務を取り扱うことが禁止されているためです。
一方、弁護士や団体交渉権を有する労働組合が運営する退職代行サービスであれば、会社側が不当に有給休暇取得を拒否した場合でも、労働者の権利を守るための適切な交渉が可能です。
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特にブラック企業相手に退職代行を使う場合、有給取得をしっかり実現したいなら「弁護士法人運営の退職代行」を利用することがおすすめです。
利用料金はやや高めになるものの、有給が確実に取得できるのであれば、十分に依頼する価値があるといえるでしょう。




退職代行で有給消化するメリット
退職代行サービスを利用して有給休暇を消化しながら退職するには、さまざまなメリットがあります。退職代行で有給消化する主なメリットは以下の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
会社の退職引き止めを受けずに済む
退職の意思を直接伝えると、上司や人事から引き止められることが少なくありません。
特に「今は人手不足だから」「もう少し頑張ってみたら?」といった説得を受け、断りづらい状況に追い込まれることもあります。
退職代行サービスを利用すれば、このような直接的な引き止めを回避し、確実かつ迅速に辞めることができます。
特に、退職時の残っている有給休暇の消化を希望する場合、会社側から「今は業務都合で今は難しい」などと断られるケースも多いのですが、退職代行を通じて法的権利として主張することで、こうした不当な有給拒否を回避できる可能性が高まります。
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退職を申し出た際、会社からの引き止めは想像以上に大きなストレスを伴います。
特に、何度も退職を申し出ても、ズルズルと退職時期を引き延ばされてしまうと、転職活動も進まず、心身ともに大きな負担になりかねません。
こうした状況でも、退職代行を利用すれば、会社の引き止めに正面から対応する必要がなくなり、スムーズに退職できるのが大きなメリットです。
無用なストレスを抱え込まず、自分の人生を前に進めるためにも、有効な手段として検討してみましょう。


有給休暇の取得に関する交渉を任せられる
退職代行サービスを利用すれば、残っている有給休暇取得の交渉を専門家に任せることができます。
特に、弁護士や労働組合が運営する退職代行サービスを利用すれば、法的根拠に基づいた「退職条件の交渉」が可能になります。
退職時にトラブルが予想される場合や、確実に有給休暇を消化したい場合は、こうした「退職条件の交渉」ができるサービスを選ぶとよいでしょう。
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有給消化の交渉は、特にブラック企業や古い体質の会社では直接申し出ても認めてもらえないケースも少なくありません。
退職時の確実に有給を取得したいなら、弁護士、もしくは労働組合の退職代行サービスを選び、交渉を依頼するようにしましょう。


精神的な負担を軽くして辞められる
多くの方が退職を決意してもなかなか実行に移せないのは、退職に伴う精神的な負担が大きいからです。
「退職を伝える場面」を想像するだけで不安になったり、退職後の生活に対する心配から躊躇したりすることもあるでしょう。
退職代行サービスを利用することで、こうした精神的な負担を大幅に軽減できます。退職の意思表示や有給消化の交渉といった最もストレスを感じる部分を代行してもらえるため、心理的な障壁を低くして退職に踏み切ることができます。
実際に退職代行サービスを利用した多くの方が「もっと早く利用すれば良かった」と感じているように、退職に関するストレスから解放されることで、次のキャリアや生活に向けて前向きな気持ちで準備を進められるようになります。
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特に、上司からのハラスメントがひどく、退職を申し出る勇気が出ない場合は、無理をせず退職代行を利用して有給休暇を使い切り、スムーズに辞めることをおすすめします。
一方で、「退職を伝えるのが気まずい」「これまでお世話になったからきちんと感謝を伝えたい」と考えている場合は、自分の口から直接退職を申し出た方が、信頼関係を壊さずに円満退職できる可能性もあります。
自分の状況に応じて、最適な退職方法を選ぶようにしましょう。




退職代行で有給消化するための7つのステップ
退職代行サービスを利用時に、有給休暇を消化して退職するための具体的な流れは以下の通りです。
残っている有給日数を正確に把握する
最初に行うべきことは、自分の有給休暇の残日数を正確に把握することです。この情報は退職代行サービスに依頼する際に必要になるだけでなく、退職日の設定にも影響します。
もし自分で確認が難しい場合は、退職代行サービスに依頼した際に、会社に確認してもらうよう依頼することも可能です。
依頼する退職代行サービスを選ぶ
退職代行サービスには様々な種類があります。有給消化をスムーズに行うためには、自身の状況に合わせた適切なサービスを選ぶことが重要です。
特に有給消化を希望する場合は、単なる連絡代行だけでなく、会社側が難色を示した際に交渉できる労働組合や弁護士が運営するサービスを選ぶと安心です。
また、無料相談を受け付けているサービスも多いので、まずは自身の希望する退職条件相談してみるのも良いでしょう。
退職代行サービスに有給消化の意向を伝える
退職代行サービスを選んだら、まずは無料相談などを利用して有給消化の意向を伝えましょう。この段階では、以下の情報を明確に伝えることが重要です。
- 退職希望日
- 有給休暇の残日数
- 有給休暇をどのように消化したいか
- その他懸念点
退職代行サービスの担当者は、退職希望者の状況を詳しく聞いた上で、有給消化が可能かどうか、どのような方法で進めるべきかをアドバイスしてくれます。
この時点で不安な点があれば、すべて質問して疑問を解消しておくと良いでしょう。
退職代行サービスへ正式に依頼する
相談の結果、退職代行サービスの利用を決めたら、正式に依頼手続きを行います。この段階では、以下の手続きが必要です。
- サービス利用契約の締結
- 料金の支払い
- 必要書類の提出
- 会社への連絡内容の最終確認
また、退職時にで会社から受け取りたい書類(離職票、源泉徴収票、年金手帳など)や、会社へ返却が必要な貸与物(社員証、制服、PCなど)についても伝えておくと良いでしょう。
退職代行の担当者から会社へ退職と有給消化の意思を伝達
依頼手続きが完了すると、退職代行サービスの担当者が退職希望者に代わって会社に連絡を入れます。通常、電話やメールを通じて以下の内容が伝えられます。
- 退職の意思表示
- 有給休暇を消化したい旨の通知
- 希望の退職日
- •必要書類の送付依頼
- •会社との連絡は退職代行サービスを通じて行うよう依頼
この連絡が入った時点で基本的に出社する必要がなくなります。連絡直後から有給休暇消化期間に入ることになります。
退職代行サービスから会社への連絡後、退職代行担当者から退職希望者に経過報告があります。スムーズに話が進んだか、会社側の反応はどうだったかなどの情報が共有されるでしょう。
残っている有給休暇を消化後に退職
退職代行から会社への連絡後、有給休暇消化期間に入ります。この期間中は、雇用契約上はまだ在職中ですが、出社の必要はありません。
有給消化期間中は、心身のリフレッシュや次のキャリアに向けた準備に充てるのがおすすめです。転職活動や資格取得の勉強、家族との時間を大切にするなど、自分にとって有意義な時間の使い方を考えましょう。
なお、有給消化期間中も給与は通常通り支払われるため、一定期間以上の有給が残ってれば、退職代行の費用は賄える場合が多いでしょう。
退職完了後に必要書類を受け取る
有給消化期間が終了し、正式な退職日を迎えると、退職手続きが完了します。この段階で、退職関連書類の受取についても確認しておくようにしましょう。
退職代行で有給消化する際の5つの注意点
退職代行で有給消化を進めることは可能ですが、事前の準備と正しい知識がなければ、想定外のトラブルに発展する可能性もあります。
退職代行経由でスムーズに有給消化するために、事前に知っておくべき5つの重要な注意点について解説します。
民間の退職代行は有給取得の「交渉」はできない
退職代行サービスには、大きく分けて「民間事業者」「労働組合」「弁護士」の3種類があります。
民間事業者)が運営する退職代行サービスは、法律上、あくまで「使者」として退職に関する意思の伝達しかできません。つまり、会社側が「有給は認められない」と拒否した場合、具体的な交渉することはできないのです。
これは弁護士法で、弁護士資格を持たない者が法律事務を取り扱うこと(非弁行為)が禁止されているためです。
一方、「弁護士」や団体交渉権を有する「労働組合」が運営する退職代行サービスであれば、法的に認められた代理人として会社と交渉することができます。
そのため、会社側が不当に有給休暇取得を拒否した場合でも、労働法に基づいて適切な交渉が可能です。
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「安さ」だけで民間の退職代行を選んでしまうと、有給消化がスムーズにできず、思わぬトラブルに疲弊する可能性があります。
特に、日常的に有給消化に対して拒否反応を示す会社を退職する場合は、弁護士か労働組合の退職代行に依頼するようにしましょう。


事前に残っている有給休暇の日数を確認する
退職代行サービスに依頼する前に、自分の有給休暇の残日数を正確に把握しておくことは非常に重要です。
もし自分で確認するのが難しい場合は、退職代行サービスに依頼する際に「有給残日数の確認も含めて依頼したい」と伝えることも可能です。
ただし、その場合は退職の意思伝達と同時に有給残日数の確認が行われるため、即日で有給消化に入れない可能性があることを理解しておく必要があります。
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出勤しなくてもお給料がもらえる「有給」は労働者にとって座さんと同義です。
退職時に財産を無駄にしないためにも、必ず正確な有給の残日数を自分で把握しておきましょう。
退職日と有給休暇日数を最適に調整する
退職代行を利用する際の重要なポイントの一つが、退職日と有給休暇日数の調整です。民法では、期間の定めのない雇用契約(無期雇用)の場合、退職の申し出から2週間経過すれば契約を終了できると定められています。
しかし、有給休暇が2週間分(10営業日)以上残っている場合、2週間で退職してしまうと残りの有給休暇が無駄になってしまいます。
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有給休暇は退職日以降に消化することはできないため、必ず消化するようにしましょう。
退職代行利用時に有給消化を渋られても冷静に対応する
退職代行サービスを通じて有給消化の意思を伝えた後、会社側が有給取得を渋るケースもあります。
しかし、有給休暇は法律で保障された労働者の権利です。会社側には「時季変更権」がありますが、これは「事業の正常な運営を妨げる場合」に限って有給取得時期をずらす権利であり、有給取得自体を拒否する権利ではありません。
ですが、一部のブラック企業ではこの法律の定めを無視し、有給消化を拒否する場合があります。
そのような場合においても、感情的にならず、粛々と法的な正当性をもとに行動することが、有給取得と円滑な退職の成功につながります。
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有給消化に対して会社側がネガティブな反応を示しても、必要以上に怯える必要はありません。
弁護士や労働組合の退職代行に依頼し、適切に有給消化を進めるようにしましょう。


退職代行サービスの対応範囲を確認する
退職代行サービスによって、対応できる範囲には大きな違いがあります。
単に「退職の意思伝達」だけをサポートするものから、「有給休暇の取得交渉」「未払い給与請求」など広範囲に対応できるサービスまで様々です。
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ブラック企業の中には、退職代行から連絡した際には「有給消化を認める」と口では言いながら、実際には欠勤扱いにしているケースもあります。
このような場合、退職後の給与振り込み時に初めて不正に気づくことになり、後から大きなトラブルになることも少なくありません。
こうしたリスクに備えるため、有給休暇の取得交渉を依頼する際は、退職後もサポートしてくれる「アフターフォロー制度」がある退職代行サービスを選ぶようにしましょう。


有給消化して辞めたい場合の退職代行の選び方
有給休暇を消化して退職したい場合、適切な退職代行サービスを選ぶことが重要です。
退職代行の業者選びを間違えると、有給を使えなかったり、思わぬトラブルに巻き込まれるリスクもあります。ここでは、有給消化を前提とした退職代行選びのポイントを4つ紹介します。
即日対応可能な退職代行を選ぶ
有給消化をして退職したい場合、まず重要なのは「即日対応」が可能な退職代行サービスを選ぶことです。
即日対応可能な退職代行サービスの特徴は以下の通りです。
- 24時間365日の対応体制がある
- LINEやメールなどで迅速に相談できる
- 依頼から数時間以内に会社への連絡が可能
特に精神的に限界を感じている場合や、翌日以降の出社が難しい状況であれば、即日対応の重要性は高まります。
退職代行サービスの公式サイトで「即日対応可能か」「深夜や休日でも対応可能か」を確認しておくと良いでしょう。
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中には、当日の朝に退職代行へ依頼し、そのまま出社せずに退職できるサービスもあります。
即日対応に慣れているサービスであれば、会社とのやり取りもスムーズに進み、その日から出社せずに退職手続きが完了するケースも少なくありません。


有給消化の交渉が必要な場合は弁護士・労働組合の退職代行へ依頼
確実に有給休暇を消化したい場合は、弁護士や労働組合が運営する退職代行サービスを選ぶことが重要です。
弁護士・労働組合の退職代行サービスの場合、会社側が有給休暇の取得を拒否した場合であっても、法的権利に基づいて「交渉」の代行をしてもらうことが可能です。
弁護士が運営する退職代行サービスは一般的に料金が高めですが、特に以下のようなケースでは弁護士や労働組合への依頼を強く検討すべきです。
- 過去に有給取得を拒否されたことがある
- ブラック企業的な体質を持つ会社で働いている
- パワハラやセクハラなどの問題がある
- 会社との関係が既に悪化している
- 未払い給与や残業代など金銭的な問題がある
料金は高くなりますが、スムーズに有給消化と退職を実現するためには、法的な交渉力を持つサービスを選ぶことがおすすめです。
退職と有給休暇の取得代行の実績が豊富なサービスを選ぶ
退職代行サービスを選ぶ際は、特に「有給休暇取得の実績」が豊富なサービスを選ぶことが重要です。単に退職の代行実績があるだけでなく、有給消化を含めた退職のサポート実績があるかどうかを確認しましょう。
実績豊富なサービスであれば、様々なケースに対応してきた経験があるため、退職希望者の状況に合わせた適切なアドバイスが期待できます。
また、会社側への交渉方法も洗練されており、スムーズに有給消化を実現できる可能性が高くなるでしょう。


非弁行為を行う退職代行を避ける
退職代行サービスを選ぶ際に注意すべき重要なポイントが、「非弁行為(※)」を行う業者を避けることです。
民間事業者が運営する退職代行サービスは、「使者」として退職の意思伝達のみが許されており、退職条件の交渉はできません。


退職代行で有給休暇を取得することがおすすめな人の特徴
退職代行は誰にでも必要なサービスというわけではありません。しかし、特定の状況下では退職代行サービスの利用が非常に有効です。
ここでは、退職代行で辞めつつ有給休暇を取得することが特におすすめな人の特徴について解説します。
おすすめな人の特徴
在職の強要を受けている
会社側から退職を認めてもらえない状況に置かれている方は、退職代行サービスの利用が効果的です。
退職は労働者の権利であり、期間の定めのない雇用契約の場合、退職の申し出から2週間経過すれば雇用契約を終了できると民法で定められているにもかかわらず、会社側が引き留めを行うケースは少なくありません。
また、有給消化もあわせて進めることで、転職活動を行う時間と給与を確保しつつ、実質的な即日退職が出来る点もメリットといえるでしょう。
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会社が退職希望者を説得すること自体はよくあることですが、「3か月は辞められない」「後任が見つかるまで退職はできない」と独自ルールで在職強要することは認められません。
自力で辞めることが難しい場合は、遠慮なく退職代行に相談するといいでしょう。




有給休暇の取得を拒否されている
会社側から有給休暇の取得を不当に拒否されている方も、退職代行サービスの利用を検討すべきです。
有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利です。
会社側には「時季変更権」がありますが、これは「事業の正常な運営を妨げる場合」に限定されており、単に「忙しい」「人手不足」といった理由で有給消化を拒否することはできません。
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「うちに有給はない」「有給休暇は許可制」と独自ルールを掲げるブラック企業もありますが、有給消化は法律に定められた労働者の権利です。
このような会社を退職する際は、代行サービスに依頼して有休を全て使い切って辞めるようにしましょう。


退職時にハラスメントへの慰謝料を請求したい
職場でパワーハラスメントやセクシャルハラスメントを受けており、退職と同時にその問題解決や慰謝料請求を検討している方は、弁護士が運営する退職代行サービスに依頼しましょう。
民間の退職代行サービスでは、単に退職の意思を伝えるだけで、ハラスメントに関する法的な交渉や慰謝料請求はできません。
ハラスメントの証拠収集や法的手続きについても、弁護士のアドバイスを受けられるのは大きな安心感につながるでしょう。
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ハラスメント被害を受けた会社を退職する場合、そのまま泣き寝入りする必要はありません。
弁護士の力を借りて、適切な補償を求める行動を起こすことが、再出発への第一歩になるでしょう。
損害賠償請求や懲戒解雇で脅されている
退職を申し出た際に、「辞めるなら損害賠償を請求する」「引継ぎをしないなら懲戒解雇にする」など、不当な脅しを受けている方も、退職代行サービス、特に弁護士が運営するものの利用を強く検討すべきです。
弁護士が運営する退職代行サービスを利用すれば、こうした不当な脅しに対して法的観点から適切に対応してもらえます。
また、会社側も弁護士が介入していることを知れば、違法な行為や不当な要求を控える可能性が高まります。
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退職希望者に対して損害賠償をチラつかせるのは、ブラック企業が引き止めをする際の常套手段といえます。
まずは弁護士の退職代行に相談し、実際の法的リスクについて確認するといいでしょう。
有給休暇に関する基本的な法定ルール
退職代行サービスを利用して有給休暇を消化するためには、まず有給休暇に関する法律で定められた基本的なルールを理解しておくことが重要です。
ここでは、有給休暇に関する以下の法定ルールについて解説します。
6か月以上勤務したフルタイムの人に10日間の有給が付与
労働基準法によれば、雇い入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10労働日の有給休暇を与えなければならないと定められています。
また、勤続年数が増えるごとに、年間の有給休暇付与日数も増加し、最大で年間20日の有給が付与(6年6か月以上勤務後)されます。
労働基準法第115条において、年次有給休暇の時効は2年と定められているため、退職時には最大40日間の有給休暇を使用できる場合もあります。
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「半年働けば10日間の有給がもらえる」というのは、すべての労働者が知っておくべき基本権利です。
特に退職時には、この日数を正確に把握し、全て消化した上で辞めるようにしましょう。
有給休暇は雇用形態を問わず取得可能
有給休暇の権利は正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイト、契約社員など、雇用形態を問わず全ての労働者に保障されています。
ただし、フルタイム勤務ではない場合、所定労働日数によって有給休暇の付与日数が異なるため(以下表参照)、自身の有給休暇が何日残っているのか、しっかり確認する必要があります。
1週間の 所定労働日数 | 1年間の 所定労働日数 | 有給休暇付与日数 (6か月継続勤務後) |
---|---|---|
4日 | 169~216日 | 7日 |
3日 | 121~168日 | 5日 |
2日 | 73~120日 | 3日 |
1日 | 48~72日 | 1日 |
※雇い入れから6か月勤務と8割以上の出勤が必要
退職代行サービスを利用して有給消化を検討する場合、雇用形態に関わらず有給休暇を取得できることを再認識しておきましょう。
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フルタイム勤務の場合、パートや契約社員、派遣社員であっても正社員と同じ日数の有給休暇が付与されます。
「非正規雇用者は有給が無い」と会社独自のルールがある場合でも、当然のことながら法律が優先されるため、退職時には必ず残っている有給を消化するようにしましょう。
退職日以降は有給休暇は使えない
有給休暇は雇用関係がある間のみ取得可能です。つまり、一度退職してしまうと、残っている有給休暇を使うことはできません。
そのため、退職日を決める際には、残っている有給休暇の日数を考慮し、できるだけ全ての有給を消化できるように計画することが重要になります。
そのため、退職代行サービスに依頼する際は、残りの有給日数を伝え、最適な退職日の設定について相談しましょう。
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退職代行に依頼する際は「できるだけ早く辞めたい」と考える人は多いですが、有給休暇が無駄にならないように退職日を設定する必要があります。
有給休暇はどんな会社でも使える
有給休暇の制度は、労働基準法で定められた「労働者の権利」です。
一部のブラック企業では、就業規則で「うちは有給休暇の制度はない」「有給は許可制等の独自のルールを設定している場合がありますが、これには法的な根拠がありません。
会社の「社内ルール」よりも労働基準法が優先されるという原則を理解しておきましょう。
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働いている間は強く言えずに我慢していた場合であっても、代行サービスを使って辞める際は残っている有給をしっかり消化するようにしましょう。
会社側は退職時の有給取得を基本的に拒否できない
退職時の有給休暇取得について、「退職が決まっている人は有給使えない」「引き継ぎが終わっていないから休めない」等の理由で会社側が拒否をするケースがありますが、法律上これは認められません。
「業務の正常な運営を妨げる場合」に限り、会社側には時季変更権を行使して有給休暇の取得日を別日に変更することが可能です。
弁護士や団体交渉権を有する労働組合の退職代行サービスであれば、こうした不当な有給拒否に対して、適切に交渉することが可能になります。


退職代行による有給取得に関するよくある質問
退職代行サービスを利用時に有給休暇も取得する場合のよくある質問について、以下に解説していきます。
退職代行を使っても有給消化はできますか?
もちろん、退職代行サービスを利用しても有給休暇を消化することは可能です。有給休暇は労働者の法的権利であり、退職方法に関わらず取得できます。
退職代行から依頼時に会社が有給消化を拒否したらどうなりますか?
民間事業者が運営する退職代行サービスでは、基本的に「連絡代行」しかできないため、会社側が拒否した場合の交渉はできません。
一方、弁護士や労働組合の退職代行サービスであれば、法的根拠に基づいた交渉が可能です。
アルバイトでも有給休暇は使えますか?
はい、アルバイトやパートタイマーなど、雇用形態に関わらず有給休暇を取得する権利があります。
ただし、週の所定労働日数や1日の所定労働時間によって、フルタイム労働者とは有給付与日数が異なります(比例付与)。
退職代行サービスを利用する際は、自分の雇用形態に応じた有給休暇日数を確認し、担当者へ伝えるようにしましょう。
退職代行から連絡後、時季変更権を行使されて出社を命令されたのですが?
退職日が決まっている状況では、他の時期への変更が事実上不可能であるため、会社側の正当性が認められるケースは極めて少ないでしょう。
弁護士や労働組合が運営する退職代行サービスを利用している場合は、法的根拠に基づいた有給休暇の取得交渉が可能になります。
退職代行で有給消化はできる理由と注意点まとめ
退職代行サービスを利用して有給休暇を消化することは、法的に問題なく可能です。有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利であり、退職方法に関わらずその権利は保障されています。
退職代行を通じて会社に退職の意思と有給消化の希望を伝えることで、以降は有給休暇を使用しつつ退職日を迎えることができます。
ただし、有給消化を確実に実現するためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。まず、退職代行サービスの種類によって有給取得の交渉能力が異なることを理解しておきましょう。
一般企業が運営する退職代行サービスでは、使者として単なる「意思伝達」しかできませんが、弁護士や労働組合が運営するサービスであれば、会社側が難色を示した場合でも法的根拠に基づいた交渉が可能です。
退職代行サービスを利用することで、退職の引き止めや有給取得拒否などのストレスから解放され、心身の健康を守りながら新たなスタートを切ることができます。特に、退職時の有給取得を認めないブラック企業や在職強要を受けている職場では、退職代行を使って有給消化した上で辞めることを検討するといいでしょう。



