派遣社員として働いている人のなかには、「契約期間中だけど退職したい」「退職を申し出たけど認めてもらえない」と悩む人は少なくありません。
もちろん、派遣社員も直接雇用の正社員や契約社員と同様に、一定の条件がそろえば退職することが可能です。
在職強要が激しい場合や、自力で退職することが困難だと感じた場合は、退職代行サービスを使って辞めることも選択肢のひとつです。
本記事では、派遣社員の退職に関する法定ルールや、退職代行を使って辞めるメリット・デメリットについて徹底解説していきます。


派遣社員でも退職代行サービスを利用可能
派遣社員の場合も退職代行サービスを利用することができます。
派遣社員は「派遣元」である人材派遣会社で雇用され、「派遣先(実際に働く企業)」で就労するという特殊な形態ですが、雇用されている労働者という点では直接雇用の正社員や契約社員と同じです。
ただし、派遣社員の契約形態(無期雇用か有期雇用か)によって退職に関する法定ルールが異なるため、退職代行サービスを利用する前に自分の契約内容を確認しておくことが重要です。
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派遣スタッフが退職することは派遣会社の売り上げ低下になることに加え、期間途中の退職は派遣先の信頼を失うことにもつながります。
そのため、人材派遣会社の担当者によっては、退職時に執拗な引き止めを受ける可能性があります。
さらに、有期雇用の派遣社員は「やむを得ない退職理由」がない場合、基本的に派遣会社の合意が無ければ退職できません。
このような理由から退職を申し出ることに不安を感じる派遣社員の方は多いですが、退職代行を利用することで心理的負担と手間を軽減し、次のキャリアに集中することができます。
派遣社員の退職に関する法定ルール
派遣社員が退職する際には、契約形態によって適用される法律や手続きが異なります。
契約内容によって適用される退職に関する法律が異なるため、退職代行サービスを利用する前に自分の契約形態を確認しておくことが重要になります。
派遣社員の契約形態は大きく分けて「無期雇用(常用型派遣)」と「有期雇用(登録型派遣)」の2種類があり、それぞれ退職の条件が異なるため、注意が必要です。
派遣社員の退職に関する法定ルールは以下の通りです。
以下に詳しく解説していきます。
無期雇用の派遣社員は申し出から2週間で退職可能
無期雇用(常用型派遣)の派遣社員の場合、派遣元の派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結んでいます。この場合は民法第627条の規定が適用されます(以下参照)。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
そのため、退職代行サービスを使って辞める場合においても、比較的スムーズに手続きを進めることができるでしょう。
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無期雇用の派遣社員であれば、派遣会社の合意が無くても2週間後には確実に退職できます。
ただし、余計なトラブルを避けるためには、事前に業務の引き継ぎ準備を進めておくことが重要です。




有期雇用の派遣社員は一定の条件を満たせば辞められる
有期雇用(登録型派遣)の派遣社員の場合、雇用契約の期間が定められているため、無期雇用と比べると退職には一定の制約があります。
有期雇用契約の場合、原則として契約期間中は労使双方とも契約解除が制限されており、基本的に契約期間は退職することができません。
しかし、以下のいずれかの条件を満たせば、契約期間中でも退職することが可能です。
雇用期間中に退職する条件
- やむを得ない退職理由がある場合
- 派遣会社の退職合意が得られた場合
- 現在の雇用契約を結んでから1年以上経過している場合
それぞれ詳しく解説していきます。
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意外に思われる人が多いですが、法律上は無期雇用より有期雇用の労働者の方が自由に退職することができません。
派遣社員についても同様で、有期雇用派遣(登録型派遣)の場合は雇用期間中の退職のハードルが高いことを覚えておきましょう。




やむを得ない退職理由がある場合
民法第628条では「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる」と規定されています。
「やむを得ない事由」として認められる例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 健康上の理由で仕事を続けられない
- 職場でハラスメントがある
- 労働条件が当初聞いていた内容と著しく異なる
- 家族の介護が必要になった
特に、健康上の問題がある場合は診断書を提出することで、スムーズに退職手続きを進められます。
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実務上は、「やむを得ない事由」の判断はそれほど厳格に適用されておらず、労働者の退職の自由が尊重される傾向にあります。
ですが、派遣会社によって対応が異なるため、退職代行を利用して辞める場合においても上記いずれかの理由があるとスムーズに辞められるでしょう。
派遣会社の退職合意が得られた場合
契約期間中であっても、派遣会社との合意があれば退職することができます。
派遣会社にとっても、働く意欲がない状態の派遣社員を無理に働かせ続けることはメリットが少なく、派遣先企業との関係にも悪影響を及ぼす可能性があるためです。
そのため、退職代行を使って辞める際において「退職のやむを得ない理由」が無い場合は、この「合意退職」を目指すことになるでしょう。
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退職代行を利用する場合、派遣会社との交渉も含めて代行業者がサポートしてくれるため、自身で交渉する必要はありません。
ただし、交渉ができるのは「弁護士」や団体交渉権を持つ「労働組合」が行う退職代行に限られるため、注意しておきましょう。
現在の雇用契約を結んでから1年以上経過している場合
有期雇用契約であっても、契約期間が1年を超える場合は、労働者は契約開始から1年経過後に退職の申し入れをすることができます。
これは労働基準法第137条に基づくもので、長期の有期雇用契約による過度な拘束から労働者を保護するための規定です。
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派遣契約において、1年以上の契約を行うことは非常に稀なケースですが、「長期契約をしたから退職できない」と悩んでいる場合は、上記に該当しないかチェックしておくといいでしょう。
退職代行の連絡は雇用主である派遣会社へ入る
派遣社員が退職代行サービスを利用して辞める場合、退職の意思表示は雇用主である「派遣元の人材派遣会社」に対して行われます。これは、派遣社員の場合、法律上の雇用契約は派遣会社との間で結ばれているためです。
そのため、派遣社員の退職は実際に働いている「派遣先企業」に直接退職の意思を伝える必要はありません。派遣会社が派遣先企業に対して必要な連絡を行います。
退職代行サービスは、あなたの代わりに派遣会社へ以下のような内容を伝えます。
- 退職の意思表示
- 希望する退職日
- 有給休暇の取得希望
- 退職時の諸手続きに関する相談
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退職代行から派遣先(実際の職場)に連絡をしても、退職することはできません。
そのため、退職代行の利用時には、自身の派遣契約の内容や派遣会社の情報を代行サービスの担当者へ伝える必要があるため、事前に確認しておきましょう。
派遣社員でも有給休暇を使える
派遣社員の場合も、労働基準法に基づいて一定期間以上勤務すれば年次有給休暇が付与されます。退職時にこの有給休暇を消化することは、派遣社員の権利として認められています。
有給休暇の付与条件は、6ヶ月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤していることであり、派遣社員の場合も同じ派遣会社で働き続けていれば、この条件を満たします。
退職代行サービスを利用する際に、残っている有給休暇を使って退職日までの期間を有給消化にする交渉を代行してもらうことも可能です。
弁護士が運営する退職代行なら、有給休暇の取得交渉も法的にサポートしてくれるでしょう。
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退職前に有給休暇を消化することで、余裕を持って次のステップに進むことができます。
退職代行利用後に、同じ派遣会社で仕事を探す可能性は極めて低いと想定されるため、遠慮なく残らず使い切るようにしましょう。


派遣社員が退職代行を利用するメリット
派遣社員が退職代行サービスを利用して辞めることは、以下のメリットがあります。
それぞれ詳しく解説していきます。
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特に人間関係のストレスや心理的なプレッシャーから解放されることは、メンタルヘルスの観点からも重要です。
退職を申し出ることや、仕事を継続することが精神的に辛い場合は、退職代行の利用を前向きに検討するといいでしょう。
派遣会社からのしつこい引き止めを防げる
派遣社員が自分で退職を申し出ると、派遣会社から引き止められることがよくあります。
派遣会社としては、優秀な派遣社員を失いたくないという思いや、派遣先企業との関係維持のために引き止めを行うことが一般的です。
特に以下のようなケースでは、しつこい引き止めに遭う可能性が高くなります。
- 契約期間の途中での退職の場合
- 派遣先企業での評価が高い場合
- 代わりの派遣社員の確保が難しい職種や時期による退職の場合
退職代行サービスを利用すれば、派遣社員であってもこれらの引き止めに直接対応する必要がなくなります。退職代行サービスはプロとして、あなたの退職の意思を明確に伝え、不必要な説得や引き止めを防いでくれます。
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退職時の引き止めに対応するのは精神的に負担がかかるものです。
退職代行を利用することで、余計なストレスを回避し、次の仕事に向けた準備に集中できるでしょう。
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ただし、退職代行を使っても、派遣元から直接連絡が来る場合もあります。
その際は電話やメールに直接対応はせず、退職代行の担当者へ状況を共有するといいでしょう。




精神的負担なく退職できる
退職を申し出ることは、多くの人にとって大きな精神的ストレスとなります。
特に派遣社員の場合、派遣会社の担当者との関係性や派遣先企業への影響を考えると、退職の意思を伝えることに強いストレスを感じる方も少なくありません。
特に、過去に退職を申し出ても引き止められて辞められなかった経験がある人は、直接退職の交渉することに大きなストレスを感じるでしょう。
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退職の際にしつこい引き止めを受けたり、退職を巡ってトラブルになってしまうと、転職活動にも悪影響が出かねません。
その場合は、退職代行を活用することで、心に余裕を持って転職活動を進めることができるでしょう。


すぐに退職することが可能
派遣先と契約期間の定めがあったとしても、無期雇用の派遣社員であれば、法律上は退職の申し出から2週間で退職できます。また、有期雇用の場合でも、一定の条件を満たしていれば契約期間内での退職が可能です。
ですが、退職代行サービスを利用することで、通常よりも早く退職できるケースが多いです。
特に仕事内容やハラスメントが原因で心身に不調をきたしている場合など、緊急性の高い退職理由がある場合は、退職代行を使ってでも即日辞めることが選択肢の一つといえるでしょう。
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転職を急ぎたい場合や、現職でのストレスが限界に達している場合は、スピーディーに退職できる手段を取ることが重要です。
ただし、実績ある退職代行サービスなら即日退職が実現できる可能性は高いものの、法律上、必ずしも即日退職が可能とは限りません。


有給休暇取得の交渉も代行してもらえる
派遣社員にも付与される有給休暇は、退職時でも消化することが可能です。
しかし、派遣会社によっては有給休暇の申請がしにくい環境であったり、退職時に有給を消化することを嫌がるケースもあります。
特に弁護士が運営する退職代行サービスでは、労働法に基づいた適切な主張ができるため、有給休暇の取得がスムーズに認められる可能性が高まります。
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通常、有給休暇の取得が派遣元の正常な事業運営を妨げる場合、「時季変更権」を行使して有給休暇の取得日を変更される可能性があります。
ですが、退職が決まっている派遣社員の場合、退職日以降に有給休暇の取得日を変更することはできません。
そのため、実務上は退職時の有給消化は拒否されにくいでしょう。


派遣社員が退職代行で辞めるデメリット
退職代行サービスには多くのメリットがありますが、派遣社員が利用する際には考慮すべきデメリットもあります。サービスを利用する前に、以下のデメリットを確認しておきましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
求人の紹介を受けられなくなる
退職代行サービスを利用して派遣会社を退職すると、その派遣会社からの今後の求人紹介が難しくなる可能性が高くなります。
派遣会社からすれば、退職代行を通じた退職は「直接コミュニケーションを取らない」という印象を与え、信頼関係を損なう行為と捉えられることがあります。
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「退職代行をつかったので求人紹介をしない」と直接言われることはなくても、キャリアアドバイザーの対応優先順位は著しく低くなる可能性があります。
そのため、同じ派遣会社を通じた転職の選択肢を残したい場合は、退職代行を使わずに自分で交渉する方が無難です。
どうしても退職代行を利用して辞めたい場合は、次の就職先の目処を立てておくことをおすすめします。
契約途中で退職することで転職に不利になる
派遣社員が契約期間中に退職代行サービスを利用して辞めると、履歴書上の「契約途中退職」という事実が今後の転職活動において不利に働く可能性があります。
もちろん、健康上の理由やハラスメントなど、やむを得ない事情での退職であれば、適切に説明することで理解を得られる可能性は高まります。
しかし、単に「合わなかった」「やりたくなくなった」といった理由での短期間・契約途中の退職は、キャリア形成上のリスクとなり得ることを認識しておく必要があります。
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退職理由は次の転職活動において重要な要素のため、契約途中で退職する場合でも、前向きな理由を説明できるように準備しておくことが大切です。
例えば「よりスキルアップできる環境へ転職するため」「家庭の事情で勤務条件が合わなくなった」など、ポジティブで納得感のある理由を伝えられるように準備しておきましょう。
退職に費用が掛かる
退職代行サービスを利用する場合、当然ながら費用が発生します。
本来、退職は自分で行えば費用はかからないものです。特に経済的に余裕がない状況や、次の仕事が決まっていない段階での退職では、この費用負担が大きく感じられることもあるでしょう。
また、費用を払って退職代行を利用したとしても、派遣会社によっては交渉が難航するケースもあるため、確実に希望通りに退職できるわけではない点も理解しておくべきです。
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退職代行の費用は決して安くありません。金銭的な負担を抑えるためには、自分で退職の意思を伝える努力をするのも一つの方法です。
どうしても自力で退職することが難しい場合は、信頼できる退職代行業者を選び、費用対効果を考えて依頼先を決断しましょう。
>退職代行の選び方のコツはこちら


派遣社員が退職代行で辞める際の注意点
派遣社員が退職代行サービスを利用する際には、いくつかの重要な注意点があります。具体的には、以下の注意点をあらかじめ理解しておくことで、トラブルを避け、スムーズな退職を実現することができるでしょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
退職代行に依頼しても辞められない場合がある
派遣社員の中でも有期雇用契約(登録型派遣)の場合、契約期間中は原則として退職ができません。
- 契約開始から間もない場合
- 「やむを得ない事由」と認められる退職理由がない場合
- 派遣会社が合意退職に応じない強い姿勢を示した場合
上記に該当する場合、契約期間中の退職を派遣会社が強く拒否する可能性が高いでしょう。
そのため、有期雇用契約(登録型派遣)の派遣社員が退職代行を選ぶ際は、退職交渉の代行が可能な弁護士や労働組合が行うサービスを選ぶことがおすすめです。特に弁護士の退職代行は交渉力と信頼性が高いため、「無事辞められるか不安」という人におすすめです。
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本記事内で前述したように、無期雇用の派遣社員は申し出から2週間で退職可能です。
有期雇用契約の場合であっても、退職代行に依頼しても辞められないケースは稀ですが、スムーズな退職のためには「自身の雇用形態の確認」「交渉力のある代行サービスへの依頼」を心がけましょう。




退職代行を依頼することでトラブルにつながることもある
退職代行サービスを利用することで、かえってトラブルが発生するケースもあります。派遣社員が退職代行で辞める際に発生する可能性があるトラブルは以下の通りです。
- 派遣会社が退職代行業者の介入を認めず、派遣社員へ直接連絡してくる
- 契約違反として損害賠償を請求される
- 退職代行業者が非弁行為をしてしまい、状況が悪化する
特に派遣社員の場合、派遣元と派遣先の両方の企業が関わるため、コミュニケーションの行き違いや誤解が生じやすい環境にあります。
トラブルを避けるためには、退職代行サービスを選ぶ際に実績や評判を十分調査し、可能であれば弁護士が行う代行サービスを選ぶようにしましょう。
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特に損害賠償を請求された場合、訴訟などへの対応は弁護士以外ではできません。
退職を巡ってトラブルになる可能性がある場合は、あらかじめ「弁護士の退職代行」に依頼するといいでしょう。
>弁護士の退職代行に依頼するメリットはこちら


次の仕事を見つけてから退職することが望ましい
退職代行サービスを利用する際には、可能であれば次の仕事を見つけてから退職することをお勧めします。
仕事が見つからなければ収入の空白期間が生まれてしまいます。そのため、経済的負担を抑えるためには、次の就業先を確保してからの退職が望ましいでしょう。
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もちろん、職場環境が著しく劣悪である場合や、健康上の理由で即時退職が必要な場合は別です。
そのような緊急性の高いケースでは、まず自分の健康や安全を優先し、退職代行サービスを活用して速やかに環境から離れることも最適な選択肢の一つでs。
もしも上司のハラスメントが退職理由の場合は、自己都合退職ではなく「会社都合退職」で辞められるように、弁護士や労働組合の退職代行を通して交渉するようにしましょう。
(※自己都合退職の方が、失業給付の受給条件が良いため)
SESなどの準委任契約に対応している退職代行は少ない
「使用者」と「労働者」の明確な区別がある派遣労働者の退職は、大半の退職代行で対応可能です。ですが、SES(System Engineering Service)に対応している退職代行サービスは極めて少なく、依頼の際は注意が必要です。
契約内容によっては途中解約が現実的に難しい場合もあるため、退職代行で辞める難易度は高いといえるでしょう。
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解約方法を誤ると損害賠償を請求されることもあるため、SES契約における仕事の退職を希望する場合は、準委任契約の特性を理解している弁護士による退職代行サービスを選びましょう。




派遣社員が退職代行を利用した際に想定されるトラブル
派遣社員の場合でも、退職代行サービスを利用することで多くの場合はスムーズに退職できますが、代行サービスを使うことで思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
派遣社員が退職代行を利用する際に起こり得る主なトラブルは以下の通りです。
想定されるトラブル
それぞれ詳しく解説していきます。


派遣会社が退職を認めない
派遣社員が退職代行サービスを利用した際に最も懸念されるトラブルの一つが、派遣会社が退職を認めないケースです。
法律上、有期雇用契約の場合は「やむを得ない事由」が無い場合、会社の合意が無ければ辞められないケースが多く、退職代行を通しても100%退職できるわけではありません。
そのため、派遣会社が退職を認めない場合は以下の対応策を検討しましょう。
- 民法第628条の「やむを得ない事由」に該当する退職理由を伝える
- 健康上の理由がある場合は、医師の診断書を取得する
- 労働環境に問題がある場合は、具体的な事例と証拠を提出する
- 弁護士による退職代行サービスに依頼して法的根拠に基づいた交渉を代行する
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「やむを得ない事由」に相当する退職理由がない場合、いかに派遣会社から退職合意を得るかが重要になります。
交渉力の高い代行サービスに依頼し、穏便かつ円滑な退職交渉を心がけるようにしましょう。


代行業者の非弁行為を指摘され退職が進まない
弁護士法第72条では、弁護士資格を持たない者が法律事務を取り扱うことを禁止しています。そのため、退職に伴う諸条件の交渉は、「弁護士」や団体交渉権を持つ「労働組合」しかできません。
民間の退職代行業者は「使者」として退職の意思を伝えることはできますが、それ以上の法律事務(交渉など)を行うことはできません。
そのため、万が一民間の退職代行業者が法的に認められていない交渉行為(非弁行為)を行おうとした場合、派遣会社から違法行為を指摘され、退職手続きが進まないトラブルが発生することがあります。
- 有給休暇取得の交渉
- 残業代請求や退職金の交渉
- 退職日の交渉
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退職者が多い企業の場合、退職代行サービスから連絡が入った場合の対応がマニュアル化されているケースがあります。
退職代行モームリの調査によると、「代行サービスを最も利用された企業」の業種は人材派遣会社となっており、同社内では退職代行から連絡があった場合の対策が仕組化されている可能性が高いでしょう。
参照:PRTIMES「退職代行モームリ累計利用者15,934名分のデータ・利用された企業情報を公開」
上記のような退職代行を利用して辞められることに慣れている会社ほど、非弁行為を行うことでスムーズに辞められなくなる危険性があるため、注意しておきましょう。


派遣会社の担当から直接電話やメールが来る
退職代行サービスを利用しても、派遣会社の担当者から直接あなたに連絡が来るケースがあります。
これは退職代行サービスを利用する目的の一つである「会社とのやり取りを避ける」という意図が果たせず、精神的負担が続くことにつながりかねません。
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退職代行サービスは基本的に「本人への直接連絡を控えるよう伝えてほしい」と派遣会社へ伝えてくれますが、法律上、退職代行を使っても会社からの直接連絡を止めることはできません。
派遣会社から自身へメールや電話があった場合は直接対応せず、内容を代行会社へ共有するようにしましょう。。
損害賠償を請求されてしまった
契約期間中に退職代行サービスを利用して退職した場合、ごく稀に派遣会社から損害賠償を請求されるケースがあります。
特に、専門性の高い業務や重要なプロジェクトに従事している場合、あるいは引継ぎなしで突然退職した場合などにこのリスクが高まります。
ですが、退職希望者にとっては損害賠償請求を仄めかされること自体がストレスになるため、弁護士の退職代行などに依頼することで、このようなトラブルを未然に防ぐことが望ましいでしょう。
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明確な損害が無い場合であっても、「退職代行を使った」ことに対して派遣会社側が感情的になり、損害賠償請求の可能性を口にすることがあります。
実際に損害賠償を請求されるリスクは状況によって異なるため、事前に弁護士の退職代行に相談することが望ましいでしょう。
また、退職代行を使って辞めた後に損害賠償請求をされた場合は、労働基準監督署や弁護士に相談するといいでしょう。


想定外の追加料金を請求された
退職代行サービスを利用する際に発生しうるトラブルの一つに、当初の見積もりとは異なる追加料金を請求されるケースがあります。特に料金体系が不透明な業者の場合、このリスクが高まりため、注意が必要です。
想定外の追加料金を請求されないようにするためには、事前に「退職代行の費用の総額」「追加料金の有無や条件」にを細かく確認しておきましょう。
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弁護士の退職代行に未払い賃金・残業代や退職金の回収を依頼する場合、回収額に応じた追加の成功報酬(※)が必要になる場合があります。
※成功報酬の相場は回収額の20~30%
回収した金額から報酬を支払う場合は経済的な負担は大きくないものの、事前に依頼内容に応じた料金体系を細かく確認しておくことが重要です。
派遣社員が退職代行を選ぶ際のポイント
ここでは、派遣社員が退職代行を選ぶ際の重要な以下のポイントについて解説します。
それぞれ詳しく解説していきます。


派遣社員の退職に対応しているか
退職代行サービスの中には、派遣社員の退職に対応していない業者も存在するため、事前の確認が重要です。
公式サイトで派遣社員の退職代行可否について確認し、無料相談の中で派遣社員の退職代行実績についても尋ねてみるといいでしょう。
退職代行のサポート対応範囲
退職代行サービスによってサポート範囲は大きく異なります。
特に派遣社員が退職する場合には、一般的な退職以上にきめ細かなサポートが必要になることがあるため、対応範囲を事前に確認することが重要です。
- 退職の意思表示だけでなく、退職日の調整や交渉も行ってくれるか
- 有給休暇取得の交渉にも対応しているか
- 派遣会社からの引き止めや説得に対するフォローがあるか
- 退職後の書類(離職票など)の受け取りに関するアドバイスをくれるか
- トラブルが発生した場合のアフターフォローはあるか
特に、派遣契約の期間中に退職する際は、通常より執拗な引き止めを受ける場合があるため、派遣会社から退職の合意を引き出しつつ、有給消化などの交渉が可能な大呼応サービスを選ぶ必要があるでしょう。
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派遣社員の退職の場合、単に「退職を伝える」だけでなく、退職日や有給取得などの交渉にも対応できる代行サービスがおすすめです。
万全を期すなら弁護士の運営するサービスが望ましいですが、費用を安く抑えたい場合は労働組合の退職代行サービスでも団体交渉権による退職交渉が可能です。


利用料金の妥当性
派遣社員が退職代行サービスを選ぶ際には、料金の妥当性も重要な判断基準になります。退職代行はサービスの運営者によって異なり、それぞれの利用料金の相場は以下の通りです。
退職代行の種類 | 利用料の相場 |
---|---|
弁護士の退職代行 | ※別途、回収額の20~30%の追加報酬が必要なケースも有り | 5万円~
労働組合の退職代行 | 2~3万円 |
民間事業者の退職代行 | 2万円前後 |
ただし、利用料金の安さだけで決めるのではなく、以下のポイントから「料金が妥当か」を判断し、依頼する退職代行サービスを選ぶ必要があります。
- 料金に見合ったサービス品質が期待できるか
- 追加料金が発生する条件が明示されているか
- 万が一退職できなかった場合の返金保証はあるか
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料金だけで選ぶのではなく、サポート内容と比較しながら総合的に判断することが大切です。
適正価格で信頼できる業者を選ぶことで、安心して退職手続きを進められるでしょう。
即日対応と24時間相談の可否
派遣社員の中には、職場環境の悪化やハラスメントなどの理由で「今すぐ」「即日」退職したいケースもあります。そのような場合、即日対応や24時間相談が可能な退職代行サービスがおすすめです。
退職代行サービスのなかにはLINEやメールの問い合わせ後、すぐに相談・依頼ができるものもあります。
なかには、夜間に問い合わせをしても対応してくれ、翌日には退職完了可能なサービスもあります。
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退職代行依頼後は1日も出勤せずに退職成立するケースが多いものの、担当している業務や契約内容によっては、即日退職ができない場合もあります。
特に、契約期間中の派遣社員の場合、退職を巡って揉める可能性はゼロではありません。
「即日退職100%」を謳ういずれの代行サービスを選んでも、「即日の退職成立」を約束するものではないため、注意しておきましょう。


口コミと退職成功実績
退職代行サービスを選ぶ際には、過去の利用者の口コミや退職成功実績も重要な判断材料になります。特に派遣社員の退職に関する実績や口コミがあれば、より参考になるでしょう。
公式サイトに掲載されている成功事例だけではなく、第三者のクチコミサイトやSNSなどをチェックすることで、退職代行の実績や評判をチェックしたうえで依頼するといいでしょう。
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口コミや実績をチェックすることで、悪質な業者を避けることができます。
特に、派遣社員が実際に利用したレビューを参考にすることで、退職代行の質を測ることが可能になります。
派遣社員が退職代行サービスを利用する流れ
退職代行サービスを利用する際は、事前の準備から退職完了後の手続きまで、一連の流れを把握しておくことが重要です。ここでは、派遣社員が退職代行サービスを利用する際の主な流れは以下の通りです。
まずは無料で相談
退職代行サービスの多くは、依頼前の無料相談(メールやLINE・電話など)を受け付けています。
この段階で自分の状況を説明し、退職可能性や注意点についてのアドバイスを受けることができます。
- 派遣社員であることや雇用契約の期間
(有期雇用・無期雇用) - 有期雇用の場合は契約の期間
- 退職を考えている理由
- 希望する退職のタイミング
- 有給休暇の残日数
- 懸念事項や不安点
退職代行の作戦や利用料金を確認
無料相談を通じて退職の方向性が決まったら、具体的な退職計画(作戦)と料金を確認する段階に移ります。
派遣社員の場合、契約形態によって退職の難易度や対応方法が異なるため、詳細な計画を立てることが重要です。
- 派遣会社への連絡タイミングと方法
- 退職日の設定方法(法律上の最短期間を考慮)
- 有給休暇消化の提案や交渉の可能性
- 基本料金に含まれるサービス内容
- オプションサービスとその追加料金
- 支払い方法と支払いタイミング
- 返金保証の有無と条件
利用料金の支払いおよび契約
退職計画と料金に納得できたら、正式に契約を結び、利用料金を支払います。
この段階で、退職代行サービスとの間で正式な委任契約が成立します。
- 契約内容を書面またはメールで確認する
- 支払い方法を確認する
- 領収書や契約書のコピーを保管しておく
派遣会社へ代行業者から退職の連絡
契約と支払いが完了すると、退職代行業者が退職希望者の代わりに派遣会社に退職の意思を伝えます。
この段階では、退職代行業者と密に連携を取りながら、状況の進展を確認することが重要です。
- 代行業者がどのような方法(電話、メール、書面など)で連絡するかを確認する
- 連絡のタイミングと大まかな内容を事前に把握しておく
- 派遣会社からの返答があった場合、速やかに知らせてもらう体制を確認する
- 派遣会社から直接連絡が来た場合の対応方法を事前に相談しておく
必要に応じて退職条件を交渉
派遣会社に退職の意思を伝えた後、退職日や有給休暇の消化、引継ぎの有無などについて交渉が必要になる場合があります。
ただし、民間の退職代行サービスでは対応できず、退職条件の交渉を依頼する際は「弁護士」もしくは「労働組合」の退職代行に依頼する必要があります。
退職完了
すべての手続きが完了し、退職日を迎えたら、正式に退職完了となります。
ただし、退職代行サービスの役割が終わっても、以下の手続きを自分で忘れずに行う必要があります。
- 派遣会社から離職票や源泉徴収票を受け取る
- 健康保険や年金の切り替え手続きを行う
- 失業保険の申請を行う(必要な場合)
- 貸与物品の返却を行う
- 最終給与や未払い金の受け取りを確認する
退職代行の利用がおすすめな派遣社員の特徴
退職代行サービスは誰にでも必要というわけではありません。自分で退職の意思を伝え、円満に退職できる場合は、わざわざ費用をかけて退職代行サービスを利用する必要はないでしょう。
しかし、特定の状況や悩みを抱えている派遣社員にとっては、退職代行サービスが大きな助けになることがあります。
退職代行の利用がおすすめの派遣社員の特徴は以下の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
自分で退職を申し出ても認めてくれない
派遣社員が自ら退職を申し出たにもかかわらず、派遣会社が認めてくれない場合は、退職代行を使って辞めることがあおすすめです。
そのため、「契約満了まで働いてほしい」と主張されると、法律に定められた「やむを得ない退職理由」が無い限り、自力でスムーズに辞めるのは困難といえます。
このような場合に退職代行を利用すれば、派遣会社と直接やり取りせずに、円滑に退職することができます。
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法律上、「やむを得ない退職理由」があれば雇用期間中の派遣社員でも、すぐに退職することが可能ですが、派遣会社から引き止められて辞めさせてもらえない場合があります。
参照:e-Gov法令検索「民法第628条」
法律上の退職ルールを超えて在職強要される場合は、退職代行へ依頼することが最適な選択肢のひとつといえるでしょう。


退職を引き延ばされている
退職を意図的に引き延ばされ、「いつまでたっても辞められない!」と悩んでいる場合は、退職代行を使って辞めることがおすすめです。
派遣社員は、労働基準法上のルールに基づき、無期雇用なら申し出から2週間後、有期雇用なら正当な理由があれば退職できます。しかし、派遣会社が意図的に退職時期を遅らせようとすることもあり、その結果、辞められずにズルズルと働き続けてしまうこともあります。
このような状況が続くと、精神的な負担が増すだけでなく、次の仕事の予定も立てにくくなってしまいます。
その場合は、退職代行を使ってでも迅速に退職することを検討するといいでしょう。
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派遣会社には、「派遣社員が減ると売り上げが落ちる」「契約途中で辞められると派遣先から叱責を受ける」と考え、執拗に退職引き止めを行う場合があります。
退職の意思を固めた後は自身のキャリア設計を優先し、派遣会社の都合に流され過ぎないように退職を進めるようにしましょう。


退職を言い出すことができない
退職の意思があっても、実際に言い出せないという悩みを抱える派遣社員も多いです。
特に人間関係を重視する方や、断ることが苦手な方にとって、派遣会社や派遣先企業の上司に退職を申し出ることが精神的ストレスになり、なかなか言い出せないケースもあります。
退職代行サービスを利用すれば、直接伝えなくても退職手続きを進められるため、精神的な負担を軽減して迅速な退職をすることができるでしょう。
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「退職を伝えるのが気まずい」というだけであれば、自身の口から退職を伝えるようにしましょう。
ですが、派遣元の営業担当者が高圧的な場合は、退職を伝えるストレスが想定されます。
無断で仕事をバックレるくらいであれば、退職代行を使って適切な手続きの上で辞める方がいいでしょう。


仕事が原因で体調不良になっている
派遣先での業務内容やストレス、人間関係などが原因で体調を崩している場合は、自身の健康を最優先に考えて早期の退職を検討すべきです。その際、即日退職も可能な退職代行サービスは最善の選択肢といえるでしょう。
仕事を続けることが難しい症状が出ている場合や、職場でハラスメントやいじめが横行している場合は、有期雇用の契約社員であっても「やむを得ない退職理由」に該当する可能性が高く、契約期間中であっても退職可能です。
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無理に働き続けることで体調が悪化してしまったら、今後の転職活動や生活に悪影響が出かねません。
体調不良の症状が出ている場合は、無理せず即時退職を検討すべき状況といえるでしょう。


退職時に有給休暇の取得を拒否される
派遣社員であっても、6カ月以上の勤務と8割以上の出勤という条件を満たしていれば、有給休暇が付与されます。
このように、退職時に有給休暇の消化を認めてもらえない場合であっても、退職代行を使うことで「有給休暇の取得交渉」も代行してもらえるため、確実な退職と休暇取得が可能になります。
ただし、有給休暇の取得に際して「交渉」が必要な場合は、弁護士か労働組合の退職代行に依頼する必要があるため、注意しておきましょう。
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有給休暇の費用負担は派遣元が行うため、派遣社員の有給消化に対して「利益が減る」という考え方をする派遣会社の担当者もいます。
そのため、退職時の有給消化は渋られることが多く、スムーズな休暇取得のためには退職代行の利用も検討すべきといえるでしょう。


派遣社員も退職代行サービスを使える理由と注意点まとめ
直接雇用の正社員や契約社員と同様に、派遣社員も退職代行サービスを利用して辞めることが可能です。
派遣社員は派遣元の派遣会社と雇用契約を結んでいる労働者であり、労働者としての権利が法律で保障されています。そのため、適切な手続きを踏むことで、退職代行サービスを通じて円滑に退職することができます。
ただし、派遣社員特有の契約形態や雇用条件を理解しておくことが重要です。無期雇用派遣(常用型派遣)の場合は2週間前の予告で退職が可能ですが、有期雇用派遣(登録型派遣)の場合は契約期間中の退職に一定の制約(※)があります。
退職代行サービスを利用することで、派遣会社とのやり取りや引き止めのストレスから解放され、精神的ストレスを軽減できるメリットがあります。特に健康上の問題を抱えている場合や職場環境に問題がある場合には、退職代行サービスの利用が効果的です。
退職代行サービスを適切に活用することで、今の環境から迅速に脱出し、いち早く新たな仕事に挑戦することができるでしょう。

