退職できない悩みと7つの対処方法を解説!それでも辞められない時の最終手段3選も紹介

退職できない悩みと7つの対処方法を解説!それでも辞められない時の最終手段3選も紹介

退職を申し出たのに、会社から「後任が見つかるまで待って欲しい」「いま辞めたら損害賠償を請求する」と言われて、スムーズに退職できないケースがあります。

このような在職強要は違法行為である可能性が高く、職場環境によっては心身に著しく負担がかかる場合があるため、適切に対応していく必要があります。

本記事では、在職強要の具体例や退職に関する法律上のルール、実践的な対処法まで解説していきます。辞めたいのに退職できなくて悩んでいる人は、是非最後までご確認ください。

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目次

退職できない!在職強要の具体例

会社を辞めたいと考え退職を申し出たにも関わらず、会社がそれを認めず退職できないケースがあります。

これは「在職強要」と呼ばれ、会社が労働者の権利を著しく侵害するものであり、違法行為に該当する可能性があります。

在職強要の具体例としては以下の通りです。

それぞれ詳しく解説していきます。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

少子高齢化に伴って人材不足が続く日本においては、退職者の引き留めが行われることが多くあります。

退職引き留めの全てが問題というわけではなく、適切な方法と、本人の意思によって在職を決めるのであれば問題ありません。

ですが、労働者の意思を無視した在職を強要は、法的にも倫理的にも問題があるといえるでしょう。

退職届を受理してもらえない

退職届の不受理は最も一般的な在職強要の形態です。

退職を申し出た際に、上司が「今は忙しいから」「人手不足だから」といった理由で退職届の受け取りを拒否したり、受け取っても人事部門まで回さず、結果的に退職できないケースは多々見受けられます。
また、ひどい場合には退職届を破かれてしまうこともあるようです。

退職届を受理せず辞めることを認めないのは、労働者の退職の自由を侵害する違法行為であり、会社にそのような権限はありません。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

民法において、正社員の場合は退職の申し出から2週間、契約社員の場合は「やむをえない理由」があればいつでも退職が可能です。
参照:e-Gov法令検索「民法第627条・628条」

ですが、退職拒否をするブラック企業はこの法律を無視して在職強要を行う場合があります。

会社が法律を無視した在職強要をする場合は、労働基準監督署や退職代行サービスへの相談を前向きに考えるようにしましょう。

後任が見つかるまで待つように言われる

人手不足が深刻な職場においては、「後任が見つかるまで待ってほしい」と言われ、退職できない場合がよく見られます。

労働力不足によって求人倍率が高い状況が続く日本では、求人広告を出しても応募者が確保できる保証はなく、後任者が見つかるのがいつになるのか分からない場合が多いでしょう。

しかし、後任の確保は会社の人事管理の問題であり、退職を希望する労働者の責任ではありません。

会社の都合で退職の権利を制限することは認められないため、期限の存在しない「後任が見つかるまで」という要求を聞く必要はありません。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

退職希望者に「後任が見つかるまで」と引き留めつつ、人材の募集や社内異動の調整を一切していない悪質なケースもあります。

このような場合、部下の退職が自身のマイナス評価につなげることを恐れ、「自分が異動になるまで待って欲しい」が本音のケースもあるため、注意が必要です。

退職するかどうかは自分のキャリアおよび人生に深く関わる選択のため、会社の判断ではなく自分の判断で行動するようにしましょう。

退職時期を引き延ばされる

退職を申し出た際に、会社側から「半年後でないと認められない」「繁忙期は認められない」など、退職時期について不当な制限を受け、すぐに退職できないケースがあります。

しかし、正社員の場合、原則として2週間前に申し出れば退職できる権利が民法で保障されており、契約社員の場合は「やむを得ない理由」があればいつでも退職することができます。
参照:e-Gov法令検索「民法第627条・628条」

就業規則や雇用契約に「退職は半年前に申し出が必要」等を定めている会社がありますが、法律を超えた設定については法的拘束力はありません。

そのため、会社側が退職時期の引き延ばしを要求している場合であっても、本記事で紹介する「確実に退職を実現するための最終手段」をとることで、問題なく辞めることができます。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

退職時期を引き延ばされることで、転職の時期を逃す可能性があるため、注意が必要です。

また、ハラスメントがある職場の場合は、仕事を続けることがそのものが精神的に苦痛を感じるでしょう。

当然のことですが、会社は個人のキャリアに一切責任を持っていません。
自身の人生とキャリアを守り育てるためには、自分で考えて行動することが必要です。
状況次第では、退職代行サービスの利用も検討するといいでしょう。

>退職代行は弁護士に依頼すべき理由とメリットはこちらで解説

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損害賠償請求や懲戒解雇で脅される

悪質なブラック企業の場合、退職を申し出たことで「損害賠償請求」や「懲戒解雇」をすることを仄めかし、労働者の在職を強要するケースが見受けられます。

脅しともとれる内容で在職を強要されるケースとしては、以下のようなものが挙げられます。

非常に悪質な在職強要
  • 損害賠償請求を仄めかされる
  • 懲戒解雇にすると脅す
  • 退職金は一切支払わないと宣言

これらの脅しは、そのほとんどが法的根拠のないものです。

労働契約において、退職を理由とした損害賠償の予定や違約金の定めは無効とされており、正当な退職の意思表示を理由とした懲戒解雇も違法となります。
参照:e-GOV 法令検索「労働基準法第16条」

退職を巡ってこのようなトラブルに巻き込まれ、退職できずに困っている場合は、すぐに弁護士が運営する退職代行サービスや、労働基準監督署へ相談するようにしましょう。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

ブラック企業によっては、会社側が職権を濫用し、実際に損害賠償請求や懲戒解雇を行うケースがあります。

退職の申し出に伴って会社側がこのような対応をする可能性がある場合は、最初から弁護士の退職代行に依頼し、法的に適切な対応をしてもらうことがおすすめです。
>弁護士の退職代行はこちらで解説

法律で定められた退職に関するルール

退職は労働者の基本的な権利のひとつであり、雇用形態に応じて退職のルールが法律で定められており、これを把握することで毅然とした態度で退職引き留めに向き合うことが可能になります。

法律で定められている退職に関する主なルールは以下の通りです。

それぞれ詳しく解説していきます。

正社員は2週間前の申し出で退職できる権利がある

民法第627条第1項に定められている通り、期間の定めのない雇用契約(正社員)の場合、2週間前に退職の申し出をすれば退職できる権利が保障されています。

参照:e-Gov法令検索「民法第627条・628条」

労働契約による合意や就業規則によって退職の申し出る時期の指定がされている場合であっても、2週間を超える部分については法的には無効になります。

そのため、労働者本人の希望があれば、申し出から最速2週間後に退職が可能で、原則、これを止めることは出来ません。

また、正社員の退職の場合は理由は問われず、人間関係の悩みや業務上の問題など、どのような理由でも退職することができます。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

円満退職のためには、ある程度会社の要望を聞きつつ、転職の妨げにならないように退職日を設定する必要があります。

ですが、退職申し出の後に3か月~6か月のように極端に長い在職を要求される場合は、転職活動に影響が出る可能性があるため、断ることを前向きに検討しなければなりません。

退職という人生の転機においては、自身の中長期的なキャリアを優先して考え、自分を犠牲にするような判断を取らないようにしましょう。

契約社員の場合の退職ルールと例外

契約社員やパート社員等の期間の定めのある雇用契約(有期雇用契約)の場合、原則として契約期間の満了まで勤務する必要があります。そのため、「雇用期間中は退職できない」という考えは、基本的に間違っていません。

ただし、以下の場合は契約期間中であっても退職することが可能です。

契約社員が雇用期間中に退職できる条件
  • 退職のやむを得ない理由がある場合
  • 契約開始から1年以上経過している場合
    (雇用契約期間が1年以上の場合)
  • 会社の合意がある場合

参照:e-Gov法令検索「民法第627条」
参照:e-Gov法令検索「労働基準法第137条」

特に、退職のやむをえない理由がある場合は、すぐに退職をすることが可能です。やむをえない退職理由とは、具体的には「職場のハラスメント」「仕事が困難な家庭事情」等が一例として挙げられます。

ただし、退職のやむを得ない理由が労働者の過失によるものの場合は、損害賠償の責任を負うことになるため注意が必要です。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

会社によっては、退職のやむをえない理由を伝えたとしても、「契約期間中は退職できない」と言い張るケースがあります。

この場合、担当者の法律理解が不足しているか、もしくは退職できることを知っていて在職強要をしていることが考えられます。

特にハラスメントや労働関係法令の違反は立派な退職理由になり得ます。

もしも一人で退職を進めることが難しい場合は、労働組合や弁護士などの「退職に関する交渉」が可能な退職代行サービスに依頼するといいでしょう。

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就業規則による退職予告期間が長い場合の法的な扱い

多くの会社の就業規則には、「1ヶ月前」や長い会社だと「半年前」といった退職予告期間が定められています。そのため、「退職を申し出ても、すぐには退職できない」と悩んでいる人は多いようです。

しかし、この期間が不当に長い場合、労働者の退職の自由を過度に制限するものとして無効となる可能性が高いとされています。

1ヶ月程度までの予告期間であれば、合理的理由があれば認められる可能性がありますが、民法に定められる定める「2週間の予告期間」より不当に長い期間については、法的に無効になる可能性が高いでしょう。

参照:厚生労働省「退職の申し出は2週間前までに」
参照:e-Gov法令検索「民法第627条」

就業規則に極端に長い退職予告期間が設けられている企業の場合、退職の際に揉めることもあるでしょう。

自分一人で退職を進めることが荷が重いと感じたら、労働基準監督署や退職代行サービスへの相談を検討した方がいいでしょう。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

不当に長い退職予告期間は労働者の転職活動を阻害し、健全なキャリア形成を妨げる恐れがあります。

退職をすることを決めた場合は、自分自身の人生やキャリア設計を優先し、法的に認められる退職期間で辞めることを目指すといいでしょう。

会社から退職できないと言われた場合の対処法7選

会社から様々な理由で退職を認めないと言われた場合でも、適切な対処方法を知っていれば、合法的に退職を実現することができます。

それぞれのケースに応じた効果的な対応策を見ていきましょう。

給与の未払いをほのめかされた場合

退職の意思を伝えることで、会社から「今やめるなら給与は支払えない」と給与の未払いを宣言される場合があります。

しかし、会社がどのような主張をしたとしても、会社側(使用者)は労働者に対して賃金の全額を支払う必要があり、これに違反した場合は、30万円以下の罰金が科されます。
参照:e-Gov法令検索「労働基準法第24条・120条」

退職時に、もしも会社が賃金の未払いという違法行為を行う場合は、以下の方法で対応しましょう。

給与未払いへの対応方法
  • 給与明細や勤怠記録などの労働の証拠を確実に保管する
  • 給与未払いの発言を記録に残す
  • 必要に応じて労働基準監督署に相談する

どのような状況であっても、原則、給与の未払いは許されないことを念頭に、上記の対応を検討するようにしましょう。

退職を申し出ることで給与の未払いを宣言する時点で非常に悪質な職場といえるため、労働基準監督署への相談や退職代行サービスの利用も前向きに検討するといいでしょう。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

ブラック企業のなかには、既に勤務した日時に対して、「成果を上げておらず、働いたと認められない」という非合理な理由で賃金の未払いを行おうとする場合があります。
当然のことですが、これは認められません。

職権を濫用して退職の引き留め、および労働者の賃金未払いを仄めかされる場合は、労働関係のトラブルに強い弁護士の退職代行サービスや、労働基準監督署へ相談をするといいでしょう。

>退職代行なら弁護士が行うサービスを選ぶべき理由を解説

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損害賠償を請求すると脅された場合

退職届を出した際に、様々な理由をつけて「損害賠償を請求する」と脅され、結果的に退職できず悩んでいるケースが見られます。

会社側が提示する損害賠償の根拠として、就業規則や雇用契約書への記載が持ち出されることがありますが、損害賠償請求や違約金の予告する契約はしてはならないと労働基準法第16条に定められています。
参照:e-Gov法令検索「労働基準法第16条」

そのため、たとえ就業規則や労働契約に損害賠償の定めがあったとしても、退職を理由とする損害賠償請求は基本的に認められません。

ただし、退職者が在職中に職権を濫用した悪質な行為、および会社へ実質的な損害を与える行為をしている場合は、稀に損害賠償が認められるケースもあるため、注意しておきましょう。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

上記で紹介した以外にも、人手不足を理由に損害賠償請求をされるケースがあります。

ですが、正社員の場合は法律で定められた「申し出から2週間の期間」を空けて退職する場合は、その間に経営者に採用を行う必要があり、損害賠償の正当な理由になり得ません。

もしも自身の退職のケースにおいて「損害賠償請求されるかも?」と不安になっている人は、弁護士の退職代行に相談して現実的なリスクを確認してみるといいでしょう。

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懲戒解雇をちらつかせられた場合

退職の引き留め手段の一つとして、「今辞めるなら懲戒解雇をする」と脅される場合があります。

懲戒解雇は、労働者に悪質な職場規律違反や背信行為がある場合にのみ認められる非常に重い処分であり、適正な手続きを経る必要があります。

当然ながら、根拠のない懲戒解雇は無効です。

労働者に懲戒解雇が認められるような行為が認められるケースでなければ、万が一懲戒解雇をされても法的に無効になります。

ですが、懲戒解雇の有効性を争うためには労働審判や訴訟が必要になる可能性が高く、弁護士費用が必要になるだけではなく退職後のキャリア形成に費やすべき時間を失うことになります。

そのため可能であれば最初から懲戒解雇を避けて円満退職を目指せるよう、会社と交渉をする方が望ましいといえるでしょう。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

退職の申し出時に会社側から懲戒解雇を仄めかされた場合は、労働基準監督署や弁護士の退職代行サービス等に相談し、法的な知識をもとに対応することがおすすめです。

費用は必要になるものの、弁護士の退職代行であれば懲戒子を避けつつ、退職に伴う有給休暇の取得や退職日の調整も代行してもらえるので、ブラック企業を確実に退職する際におすすめの選択肢のひとつです。

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退職金不支給を示唆された場合

退職金規定のある会社では、規定に基づく退職金の支給は会社の義務です。そのため、退職を理由に退職金を不支給とすることは違法行為です。

退職金の不支給を伝えられた場合でも、適切に受け取るために退職金規定のや就業規則のコピーを保管し、必要に応じて専門家に相談するようにしましょう。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

会社によっては、退職理由が自己都合退職か否かによって、退職金の支給有無や支給率が異なる場合があります。

自分から退職を申し出る場合は自己都合退職になると誤解している人もいますが、パワハラやセクハラ等の会社側の要因によって退職する場合は「会社都合退職」と認められるケースもあるため、就業規則をよく確認し、適切な対応をとるようにしましょう。

有給休暇の取得を制限された場合

退職を申し出た際に、引き継ぎの必要性や人手不足を理由に、有給休暇の取得を会社側が認めないことがあります。

ですが、有給休暇は労働基準法で保障された権利であり、退職を申し出た後でも、退職日までの期間中に取得する権利があります。
参照:e-Gov法令検索「労働基準法第39条」

会社が有給取得を認めない場合は、労働基準監督署や退職代行サービスに相談し、退職までに期間中に有休を使い切ることで、次の転職に活かせるようにするといいでしょう。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

退職時に限らず「うちは有給休暇の制度はない」と主張する会社もありますが、これは法律上認められません。

6か月以上継続して勤務し、労働日の8割以上出勤している労働者は、雇用形態や所定労働日数を問わず有給休暇の対象です。
フルタイム労働者の場合は6か月以上勤務後に10日分、その1年後には11日分の有給休暇が付与されます。

有給をこれまで使えなかった場合は、退職時に使い切って次の転職先に備えるようにするといいでしょう。

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離職票の発行を拒否された場合

「退職は認めない」「どうしても辞めるなら離職票は出さない」と主張し、退職の引き留めを行うブラック企業もあります。

ですが、離職票の発行は雇用保険法に定められた会社の義務であり、これを正当な理由なく拒否した場合は6か月以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金が科せられます。
参照:e-Gov法令検索「雇用保険法施行規則第7条」
参照:e-Gov法令検索「雇用保険法第7条」

発行を拒否された場合は、ハローワークに相談することで解決できます。ハローワークから会社に働きかけてもらうことが可能で、それでも発行されない場合は、ハローワークから離職票の発行を受けることができます。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

離職票は雇用保険の失業手当を受けるために必要な重要書類です。

退職の引き留めのために離職票の発行をしないことを仄めかすのは言語道断ではありますが、万が一会社側が発行しなくてもハローワークで対応可能なため、安心して退職しましょう。

希望している退職日と異なる日程を提案された場合

退職の申し出をした際、最もよくある引き留め交渉として「退職日を延期の交渉」が挙げられます。

本記事内でもお伝えしたように、法律上、正社員の場合は退職申し出から2週間で退職することが可能です。

そのため、会社の都合による退職日の延期要請には法的な拘束力はありませんが、円満な退職のために1ヶ月程度までなら検討する余地があるでしょう。

ただし、それ以上の退職日の調整については、自分自身のキャリア設計を第一に検討した方がいいでしょう。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

退職日の交渉はよくある引き留めの一種です。
転職活動の妨げにならない範囲で応じても問題ないですが、長引くと転職活動の予定が立てづらく、職場環境が悪い場合は心身にも負担がかかるでしょう。

どこまで退職日の交渉に応じるべきか悩んだ際には、自分のキャリアや転職活動に悪影響が出ない範囲を目安に考えるようにしましょう。

退職できないデメリット

退職が実現できない状況が続くことは、個人のキャリアや健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。具体的には以下のようなデメリットがあるため、退職の引き留めに対しては適切に対応していく必要があります。

それぞれ詳しく解説していきます。

転職のタイミングを逃す

会社の在職強要によって退職できない場合のデメリットのひとつとして、転職のタイミングを逃すことが挙げられます。

退職がスムーズに進まず、時期が遅くなることで希望条件に合った求人の採用枠が埋まってしまう可能性に加え、年齢を重ねることでキャリアチェンジのタイミングを逃す可能性があります。

退職を決めた際は、会社の要望に合わせすぎると、自分自身のキャリア設計ができなくなってしまう危険性があります。

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転職のタイミングを逃さないようにするためには、先に転職先を決めてから退職してもいいでしょう。

その際、入社可能日が不明確なままでは採用を出しづらいという背景もあるため、「内定をもらったら1か月後には入社可能」のように退職予定日を決めて転職活動をする必要があります。

ただし、これは残業が少なく、有給休暇を使って面接などを受けることができる職場に限ります。
在職中に転職活動をすることが難しい場合は、まずは退職をして、失業給付を受けつつ転職活動をすることも検討しましょう。

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心身にストレスがかかる

労働者の希望を無視し、不当な在職強要によって退職できない状況は、大きな精神的ストレスとなります。

また、ハラスメントが横行していたり、仕事の内容そのものが負担になっている場合は、退職できないことでさらに心身に強い負担をかけ続けることになります。

その結果、集中力の低下や業務効率の悪化、心身の不調を招きかねません。

体調不良は、退職後の転職にも影響を与える可能性があるため、仕事を続けるストレスが大きいと感じている場合、速やかに退職する必要があるでしょう。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

職場のパワハラやセクハラが原因で心身に不調をきたしている場合、退職の際に会社に対して損害賠償を請求することも可能です。

その際は、法的に対応可能な弁護士の退職代行サービスへの依頼して、確実な退職と損害賠償請求を両立させることも検討しましょう。

労働環境が悪化する

退職の意思を表明した後、職場の環境が著しく悪化することがあります。

退職の申し出を拒否して在職を強要しつつも、上司からの過度な監視や嫌がらせをされ、同僚からの冷たい態度とられる等、精神的な負担が増大する可能性があります。

このような状況が長期化すると、メンタルヘルスに深刻な影響を及ぼす恐れがあるため、出来る限り早急に退職する必要があります。

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信じられないことに、一部のブラック企業では退職の引き留めをしたにも関わらず、仕事を続けることを選択すると周囲から嫌がらせを受けることがあります。

このような環境で「仕事を続けることが難しい」と感じたら、退職代行サービスを使って迅速かつ確実に退職を目指すのも選択肢の一つといえるでしょう。

確実に退職を実現するための最終手段3選

会社からの不当な引き止めに遭遇し、正攻法では円滑な退職を実現することが難しい場合の最終手段として、以下の方法を使うことでより確実に退職することが可能です。

上記の方法について、それぞれ詳しく解説していきます。

退職届を内容証明郵便で送付する

退職を申し出ても拒否されてしまう場合は、「退職届を内容証明郵便で送る」という方法があります。

内容証明郵便とは、いつ、だれに、どんな内容を送付したか証明するサービスです。
退職届を内容証明で送ることで、退職届を会社が受け取ったことを客観的に証明することが可能で、最短でその2週間後に退職可能です。

通常の郵便ではなく内容証明を利用することで、「退職届を受け取っていない」と会社側が主張することができなくなるため、確実に退職できる方法のひとつといえるでしょう。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

内容証明郵便で退職届を送付するのは、確実に退職できる方法である一方で、会社との対立構造を強める恐れがあります。

そのため、いきなり内容証明郵便を送るのではなく、退職届の受け取り拒否等のやむをえない事情がある場合に、選択肢のひとつとして考えましょう。

労働基準監督署に相談する

会社側の在職強要によって、退職できずに困っている場合は「労働基準監督署」に相談することがオススメです。

労働基準監督署とは、厚生労働省が設置する出先機関のひとつで、労働関係法令を違反する企業を取り締まるための組織です。

労働基準監督署では、在職強要や退職に関する相談や申告を無料で受け付けており、会社に対して必要な指導を促すことが可能です。
参照:厚生労働省「全国労働基準監督署の所在案内」

労働基準監督署に相談する際は、これまでの経緯や会社とのやり取りを時系列で整理し、具体的な事実関係を説明できるように準備しておくことが重要です。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

在職の強要は基本的に職権を濫用した違法行為のため、労働基準監督署に相談することで「退職できない」という悩みは解決できることが多いでしょう。

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退職代行サービスを利用する

退職代行サービスは、その名の通り退職に関する会社との交渉や必要な手続きを代行してくれるサービスです。特に以下のような場合に効果的な選択肢となります。

退職代行サービスがおすすめなケース
  • 直接の対面でのコミュニケーションを避けたい場合
  • 法的な専門知識が必要な複雑な状況の場合
  • 心身の負担を最小限に抑えて退職したい場合

特に、弁護士が行う退職代行サービスを選ぶことで、より確実な法的保護を受けながら退職手続きを進めることができます。また、有給休暇が残っていれば、職場に一度も行かずに実質的な即日退職を実現することもできます。

迅速な退職や有給休暇の確実な消化を目指したい場合は、退職代行サービスの利用を前向きに検討するといいでしょう。

退職戦略室 編集部(キャリアコンサルタント)

ただし、退職に関する交渉は弁護士、もしくは団体交渉権を持つ労働組合の退職代行にしかできず、民間の代行業者は基本的に「意思の伝達」しかできないため、注意しておきましょう

また、損害賠償請求や懲戒解雇などに対して裁判などの法的な対応ができるのは弁護士のみのため、退職時のリスクに応じて代行業者を選ぶようにしましょう。

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退職できない悩みと対処方法まとめ

退職は労働者の基本的な権利として法律で保護されており、会社による不当な引き止めや在職強要は違法となる可能性が高いものです。

会社から給与未払いの示唆や損害賠償の脅し、懲戒解雇の示唆などを受けた場合でも、これらのほとんどは法的根拠のない違法な行為です。このような状況に直面した場合は、一人で抱え込まずに、労働基準監督署への相談、退職代行サービスの利用など、適切な方法を選択して対応することが重要です。

退職できずに仕事を続けることで心身の負担が大きい場合や、会社との交渉が困難な場合は、弁護士による退職代行サービスの利用を検討することをお勧めします。専門家のサポートを受けることで、スムーズな退職を実現することができます。

退職の決断をしたならば、自分のキャリアや人生を第一に優先して考え、適切な手段を選択して確実に会社を辞めるようにしましょう。

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